『定年ひとり起業 生き方編』

今日は、サラリーマンが幸せなライフシフトをするにあたって教科書となる書籍をご紹介します。

大杉潤さん著『定年ひとり起業 生き方編』(2023年、自由国民社)です。

「定年ひとり起業」シリーズの三作目。

青い表紙の1作目、オレンジの表紙の2作目「マネー編」に続く、緑の表紙の「生き方編」になります。

私も、前2作を読んで大きな影響を受け、「ひとり起業」を目指すようになりました。

現代社会は、人生100年時代となって生きる時間が長くなる一方で、年金受給開始年齢が上がることが想定されます。

「定年ひとり起業」シリーズは、このような現代社会を幸せに生きるために、働く期間を長期化することを提唱しています。

そして、長く働くためには、「ひとり起業」が最も良い戦略ということです。

今回の「生き方編」は、働き方だけではなく、健康やデュアルライフなど、生き方全般に渡って、参考とすべき考え方が書かれています。

サラリーマンからのライフシフトを目指す私にとっても、このシリーズ3部作が道筋を示してくれています。

特に今回の「生き方編」は、生き方そのものについて書かれており、人生をシフトしていこうとしている私にとって、大変勉強になるものでした。

ライフシフトを志すサラリーマンには、この3部作は、必読の書と言えます。

重要なポイントを整理していますので、是非、参考にしていただければと思います。

人生の幸福度は70歳からの生き方で決まる

著者は、人生の幸福度は70歳からのキャリアで決まると言います。

高齢化と人口減少が加速する日本では、特に70歳以降に決定的な格差が来る時代になると予測しています。

70歳以降になっても、仕事をして社会で貢献することで幸福度の高い後半人生を送ることができ、それが人生の質を決めるとのことです。

トリプルキャリア

幸せな70歳以降の人生を送るために、著者は「トリプルキャリア」を提唱しています。

生涯現役を目指して85歳まで働くキャリアを定年前から作っていくというものです。

85歳まで働き続けるためには同じ働き方では無理があります。

働く期間を3つに分けて、働き方をチェンジしながら、楽しく無理なく働き続けることが「トリプルキャリア」の考え方です。

ファーストキャリアは、サラリーマンとして「雇われる働き方」です。

セカンドキャリアで、「雇われない働き方」にチェンジすることを奨めています。

サラリーマンは、安定して収入を得られますが、定年があることがデメリットです。

定年がなく、85歳まで働くために、50代から60代の間に「雇われない働き方」、中でもリスクの少ない「ひとり起業」へのシフトを提唱しているのです。

とは言え、起業をすることは、収入が安定せず、試行錯誤しながらビジネスを軌道に乗せていく期間があることが想定されます。

従って、サラリーマンを続けながら副業として始め、安定した収入を得ながら、試行錯誤し、準備ができたら起業することが望ましいとしています。

最近では、副業解禁の流れが加速しており、サラリーマンからセカンドキャリアの「ひとり起業」へとシームレスに移行がしやすくなっています。

このようにサラリーマンの間に副業を始めて、セカンドキャリアの準備を進める場合に参考となる書籍として、坂下仁さんの著書『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』(ダイヤモンド社、2022年)が紹介されています。

人生のミッション=ライフワーク

サードキャリアは、体力面の制約が出る70代以降のどこかで、仕事をライフワークに絞り、理想的な働き方へと移行するものです。

ここで大切になるのが、「人生のミッション」です。

ミッションは神から与えられた使命のことで、自分は何のために生きているのかという「人生のミッション」がライフワークになると言います。

そして、「人生のミッション」を見つける方法として、IKIGAI(生きがい)を見つけることを紹介されています。

次の4つが重なる部分であるIKIGAIを見つけていくというものです。

好きなこと、得意なこと、世の中の役に立つこと、収入が得られること。

この4つが重なるところを表した図は、「IKIGAIベン図」として、ローマ字表記で、欧米でも広まっているそうです。

「人生とキャリアの棚卸し」をして、好きなこと、得意なことを見つけ出し、試行錯誤しながら世の中の役に立つこと、収入が得られることを探していく。

こうしてライフワークとなることを見つけて、サードキャリアとしていくことを提唱されています。

ICT活用

ICTはInformation and Communication Technologyの略で情報通信技術と訳されます。

これからの時代に、シニア世代が働き続けるために、最重要のスキルであると著者は言います。

リスキリングが世間では注目されていますが、シニア世代が身につけるべきものとして、このICTスキルを薦めています。

著者自身も50代以降に、このICTスキルを身に付け、具体的に実践してきたことが紹介されています。

Twitter

著者は、51歳でTwitterを始め、それ以降、毎日呟いているとのことです。

Twitterは、検索力の破壊力が想像以上であると言います。

出版関係者をはじめ、各種メディア関係者はTwitterで検索して、情報を取ることが多くなっているとのことです。

Twitterに書評記事を投稿していると、出版者や著者からコンタクトが来るようになったそうです。

正式な書籍タイトルや著者名を入れておくと検索したときにヒットするということです。

Twitterをするにあたって、最重要なのは、毎日発信することと継続することと書かれています。

ブログ

ブログは、ストック型メディアであり、人生の母艦になるものであると書かれています。

著者は、55歳でブログを開設し、毎日更新して9年間続けてきたということです。

ブログ記事は、ストックされることで、著者がどんな人物かが分かるセルフブランディングになります。

また、インプットされた知識が、アウトプットされて蓄積されていくので、いつでも引き出して活用することができます。

そして、日付やテーマ別に蓄積、保存されるので、ライフログにもなります。

こうしたブログの特徴を最大限に活用して、メディアからの出演オファー、講演や研修講師の依頼、執筆依頼などに繋げているということです。

こうしたブログを人生の母艦とした戦略については、立花岳志さん著『起業メンタル大全』(2022年、自由国民社)でも詳細が紹介されています。

動画配信

著者は、動画配信にも取り組まれています。

62歳で、youtubeチャンネルを開設しています。

動画で伝えることができる情報量は、テキスト文字での発信と比べて格段に多いということです。

表情や声などから、人柄や講師としての適正も感じてもらえるようになると言います。

コロナ禍以降、セミナーはオンライン開催が多くなりました。

動画配信を始めたことで、パソコンの画面に向かって表情豊かに感情を込めて話すスキルが高まったとのことです。

健康法

本書では、働き方だけではなく、健康法についても触れられています。

体温を上げる

健康のベースは、免疫機能を高めるため、体温を上げることであると書かれています。

体温を上げるために、著者が取り組んでいることは、以下の2つです。

毎日一回、必ずお風呂に入って体を温めること。

毎日、「筋トレ」をすること。

スクワット運動で、太ももとふくらはぎを鍛えているということです。

運動脳

また、実践している運動習慣として、「有酸素運動」を紹介されています。

散歩は脳を活性化させるとして、定期的なウォーキングを意識して行っているとのことです。

スウェーデンのベストセラー、アンデシュ・ハンセン著者『運動脳』(2022年、サンマーク出版)が紹介されています。

運動脳によれば、「有酸素運動」によって、海馬や前頭葉が大きくなって、学力、集中力、記憶力、意欲、創造性が高まるということです。

口腔ケア

著者が実践している健康管理として、もう一つ紹介されているのが、「口腔ケア」です。

「80歳になっても自分の歯を20本残す」ことを目標にしているということです。

具体的には、歯科医によるプロフェッショナルケアと自身のセルフケアを組み合わせています。

1日3食後に、歯間を中心にブラッシングを5分以上行うセルフケアを実施。

これに加えて、3ヶ月に1回は、自分では取り切れない歯垢を取り除くために、歯科医院に通っているとのことです。

私も、3か月に1回は、歯科医でクリーニングを行っています。

デュアルライフ

著者は、埼玉の自宅と第2拠点である伊豆とのデュアルライフを実践されています。

デュアルライフの醍醐味として、「アイデアが閃く」ことを挙げられています。

リラックスした環境で、副交感神経が優位な状態にあると、良いアイデアがパッと浮かんでくるということです。

著者は、これを伊豆で何度も経験しているそうです。

アイデアは、様々なインプットをしたことが、関連付けられて組み合わさって出てくるものだと言います。

こうしたアイデアを出すためには、孵化させるための熟成期間とリラックスできる環境が必要だということです。

伊豆の山と海に囲まれた自然の中で、ゆったりとした気分でリラックスすることでアイデアが閃いてくることが書かれています。

まとめ

本書は、「ひとり起業」をセカンドキャリアとし、サードキャリアは「人生のミッション」であるライフワークに絞っていくトリプルキャリアを提唱されています。

そして、70歳以降まで長い期間働いて、社会貢献していくことで、幸せな人生を送ることができると言います。

こうしたトリプルキャリアを実践するためのベースとなる、健康やデュアルライフなどの考え方についても書かれています。

著者が実践している経験が多く書かれており、人生100年時代を生きるサラリーマンは、是非参考にすべき教科書となる1冊です。

また、「珠玉の15選」として、ライフスタイルを考える際の良書が1k5冊紹介されているのも嬉しい点です。

しっかり学んで、行動に取り入れていきましょう!

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