今日からは、あらためて「ライフシフト」とは何かについて書きたいと思います。
サラリーマンを早期に辞めることは、Financial Independence(経済的自立), Retire Early(早期リタイア)の頭文字をとって、FIREと言われたりしています。
また、完全なFIREでなくても、サラリーマンを辞めて、フリーランスや個人ビジネスをしながら働き続けることは、「セミFIRE」とか「サイドFIRE」と言われています。
私が目指しているのも、サラリーマンを辞めて、個人ビジネスをライフワークとして生きていくスタイルです。
しかしながら、単にサラリーマンを引退して、資産運用をしながら働き方を変えて、生きていくというだけではありません。
働き方は、自分のミッションを達成するために社会貢献するものになります。
また、家族との時間を大切にしたり、自分のための学習する時間を作ったり、自分の好きなことを楽しむ時間を作ったりしながら人生そのものの幸福度を高めることを目指しているものです。
おそらく、「サイドFIRE」でも、サラリーマン時代とは働き方が大きく変わり、その先には、自由な時間が多くなって、家族との時間や自分の時間を楽しむ人生があることでしょう。
結果として、同じことを言っているのかもしれませんが、私は、ただサラリーマンを早期引退するというだけではなく、人生や生活そのものを変えて、幸せになっていくことを意識しています。
そのため、「ライフシフト」という言葉が、私にはしっくりきています。
「ライフシフト」は、言うまでもなく、世界的なベストセラーであるリンダ・グラットン/アンドリュー・スコット共著『LIFE SHIFT 人生100年時代の人生戦略』(2014年、東洋経済新報社)のタイトルです。
2017年には、当時の安倍内閣が発足した「人生100年時代構想会議」に、リンダ・グラットンさんも参加し、日本の政策にも影響を与えています。
私は、「ライフシフト」を日本の現代社会で自ら実践していきながら、より具体的かつ実践的なものとして発信していきます。
これまでに、従来型のサラリーマンライフを生きてきたものの、現代社会の置かれた環境変化に応じて「ライフシフト」を目指す40~50代の皆さんが、人生についての考え方を変える切っ掛けとしていただければ幸いです。
今回は、まずは、従来型のライフステージはどのようなものであったのかについて書きます。
従来型の3ステージ・モデル
私たちを取り巻く環境は、大きく変化しています。
しかし、私たちの生活は、第二次世界大戦後の高度経済成長時代に構築されたものからそれほど大きく変わっていません。
こうしたライフスタイルは、この環境変化の激しい現代社会に合わなくなってきています。
従来型のライフスタイルで生きてきた私たちアラフィフやアラフォーのサラリーマンは、時代の過渡期にいると言っても良いでしょう。
時代に合ったライフスタイルにいち早く順応し、ライフスタイルをシフトしていくことが幸せを掴むカギです。
従来型のライフスタイルのまま、順応しきれないでいると厳しい未来が待っているかもしれません。
まずは、従来型のライフスタイルは、どのようなものであったかをおさらいしておきましょう。
戦後の資本主義経済において、構築された従来型のライフステージは、3ステージ・モデルが一般的なものです。
それは、「学習期」「就業期」「引退期」の3ステージが、年代に応じて明確に分かれているものです。
「学習期」
20代までの「学習期」には画一的な学校教育を受けます。
一流大学を卒業して優良企業に就職することが、理想的なことであるとされ、大学受験に合格するための勉強が中心になります。
また、長期に渡る次の「就業期」に、組織の一員として活躍できるように、集団行動での規律遵守に重きを置かれた教育を受けます。
今にして思えば、ほぼ強制的に部活動に入り、入っていないと内申書の評価が低く、「帰宅部」という偏見に満ちた言葉で呼ばれるカルチャーは異常に感じます。
厳しすぎる校則や、修学旅行時の行動管理なども集団行動での規律を重んじる教育でした。
昭和終盤の平成に差し掛かった時代でも、体罰で威圧する先生もたくさんいました。
こうしたことは、社会人になってから、パワハラ上司に耐えるための練習だったようにも思えます。
「就業期」
大学を卒業すると、一流企業に就職することが望ましい人生とされてきました。
そして、一流企業で定年まで勤めあげる終身雇用が日本の高度経済成長を支えてきました。
定年まで面倒を見てもらう変わりに、膨大な時間と自由を犠牲にして会社に捧げなければなりません。
毎日、残業して長時間労働をするのは当たり前。
全国転勤や海外勤務も厭わず、会社の指示一つで、家族や子供の人生も巻き込みながら人生を捧げていくのです。
会社の中で、マネジメントができる人材に育てるために、色々な部署を転勤しながら会社のことに詳しくなります。
いわゆる、ジェネラリストとして育てられるます。
一つの職務を専門的に行うのではなく、会社におけるスペシャリストになりますので、転職できるような専門性は身に付きません。
これも、今にして思えば、転職市場で価値が高めることなく、自社に留めておくための人事戦略だったのかもしれませんね。
そうして、人生の半分以上の40年近くを一つの会社で過ごし、会社の成長のために身も心も捧げることが一般的でした。
そうすることで、毎月の安定的なサラリーと退職金を受け取ることができ、家族の生活を守り、教育費を捻出することが理想の人生とされてきたのです。
「引退期」
60歳になったら、定年退職して、「引退期」に入ることが一般的な生き方でした。
退職金の取り崩しと受給する年金を生活費に充当します。
退職金を受け取るために、会社に全てを捧げて、定年まで勤めあげることで老後の安心を得ることができたのです。
そのため、途中で転職することは少なく、終身雇用で退職金が満額でもらえる定年まで勤めあげるのです。
また、年金は、「引退期」に入る高齢者を支える労働人口が十分にあることで成り立っていました。
定年となる60歳から受給でき、贅沢さえしなければ、最低限の生活費を賄えないほどに大きく不足するということはありませんでした。
それから、この「引退期」には、仕事を引退していることが一般的で、趣味や旅行を楽しむ生活に入ります。
「就業期」には、会社のために休日も厭わずに、家庭は二の次で働いていましたので、余暇がこの「引退期」に集中します。
このような、人生後半の生き方がこれまでの3ステージモデルの典型でした。
まとめ
このように、第二次世界大戦後の高度経済成長時代に構築されたライフスタイルは、3ステージ・モデルでありました。
「学習期」「就業期」「引退期」の3つのステージが明確に線引きされて、特に「就業期」が長期にわたり、同じ会社で定年まで働くことが一般的なモデルでした。
また「引退期」には、退職金の取り崩しと年金を頼りに暮らしていくものでした。
引退期が短かった時代には、このモデルでも成り立っていました。
また、引退期を支える労働力人口も多く、経済成長が前提のモデルでもありました。
人生100年時代を迎え、少子高齢化が進む、現代の日本では、このモデルが適合しなくなってきています。
しかしながら、現在の私たちの生活スタイルも、この3ステージモデルから、それほど大きく変わっていないのではないでしょうか。
そして、こうした生き方は、国や会社に依存した生き方であったと言えます。
一方で、国や会社に頼ることと引き換えに自由を奪われるものでもありました。
私たちは、限られた時間を、もっと自由に、もっと思いのままに、もっと楽しく生きて良いはずです。
自分や家族を大切にして、幸せに生きることを、何よりも優先的に考えて良いはずです。
従来のサラリーマンとしての人生から考え方を180度転換して、「ライフシフト」していくことで、人生を変えて幸せを掴みましょう。