前回は投資信託の運用資産タイプ別の種類について説明しました。
今回は、そのうち株式型とバランス型のインデックスファンドの特徴について、お話ししたいと思います。
それぞれのリスクや期待リターンについて把握した上で、取るべき投資戦略を考えてみましょう。
インカムゲインとキャピタルゲイン
インカムゲインは、株式や債券などの運用商品を保有中に得られる収益のことです。
運用商品を保有し続けることで、継続的な収入を期待することができます。
株式であれば、業績が好調であれば配当金が定期的に入ります。
債券であれば、あらかじめ約束された利金が定期的に入ってきます。
一方で、キャピタルゲインは、株式や債券などの運用資産を売却することによって得られる売買差益のことです。
売却することによって損失が出た場合はキャピタルロスになることもあります。
株式は、満期がありませんが、その企業の業績が良くなることを予想する人が多くなると人気が出て株価が上がります。
価格が上がった時に売却すると売却益が出ます。
こうしたキャピタルゲインが狙える一方で、会社の業績が悪くなると予想する人が増えて、人気が下がれば株価が下がります。
購入時よりも株価が下がったときに売却するとキャピタルロスになります。
このように株式はキャピタルゲインを狙える一方でキャピタルロスのリスクもある商品です。
債券は、市場金利の変動によって、価格が影響を受けます。債券価格は金利と反対の動きをします。
市場の金利が上がれば、それに比べて既存の債券の利回りが相対的に低くなるため債券価格は下がります。
反対に、市場の金利が下がれば、それに比べて既存の債券の利回りが相対的に高くなるので債券価格は上がります。
しかし、債券は売買を行う市場がなく、相対で買い手を探す必要があるため、中途売却時には売却コストが掛かります。
そのため、中途売却というよりも満期まで保有してインカムゲインを狙うことが中心の商品であるといえます。
このように、株式はキャピタルロスになるリスクを抱えながら、キャピタルゲインとインカムゲインの両方を狙える商品になっています。
一方で、債券は満期になれば元本がそのまま戻ってくるためリスクは少ないが、キャピタルゲインを狙える場合は限定的で、基本的にはインカムゲインを狙う商品であるといえます。
長期では経済成長が資本主義の前提
このように債券と株式の決定的な違いは、株式がキャピタルゲインを狙える点にあります。
もちろんキャピタルロスになるリスクもありますが、長期では経済成長することが資本主義の前提です。
株式会社は、株式を発行して調達した資金を使って事業に投資し、企業を拡大させていきます。
それができなくなった会社は、市場からの撤退を余儀なくされます。
生き残っている会社の集合で見れば、長期的には成長しているはずなのです。
株式市場に上場されている株式の集合的な指数であるインデックスも長期で見れば成長していくはずです。
市場から撤退を余儀なくされる会社は、指数からも除かれていきます。
日本や欧州のように低成長時代になってしまって、長期で見ても成長していない株式市場はあります。
そのため、地域を選別することは重要ですが、資本主義の中心である米国市場は、長期で見れば右肩上がりで成長を続けています。
バランス型ファンド
そうは言っても、キャピタルロスのリスクもありますので、株式は期待リターンは大きいですがリスクも高いといえます。
したがって、ローリスクな債券とハイリスクであるものの大きな期待リターンを狙える株式とを組み合わせることでバランスが良い運用になるというのが一般的に言われていることです。
教科書的には、株式を60%、債券を40%にする組み合わせがリスクとリターンのバランスが理想的であるとされています。
また、理論的には、経済が好況の時には、株式が上がり、金利も上がりますので債券価格は下がります。
その反対に、不況になると株式が下がり、金利も下がりますので債券価格が上がります。
このように株と債券の動きは理論的には、反対の動きをするとされています。
両方を持っているとどちらかが下がったときにどちらかが上がるという関係になりリスクを軽減する関係になります。
一般的に、このように反対の動きをする相関関係が低い組み合わせとすることでリスクは低減します。
バランス型ファンドは株式や債券、不動産などを組み合わせて構成することで、リスクを分散させる商品です。
一方で、低リターンの債券を組み合わせるので、全体の期待リターンも下がります。
バランス型は本当にリスク分散になっているか
しかし、近年のマーケットでは、中央銀行の金融政策の影響を受けることが大きくなっています。
金融緩和で資金がだぶついていれば、株式も債券も値上がりしますし、反対に金融引き締め局面で資金量が少なくなると、両者ともに値下がりします。
最近の米国の利上げ(金融引き締め)局面では、株安と債券安となりました。
このように、価格は需要と供給で成り立つものであり、必ずしも理論通りに反対の動きをするというわけではないということでしょう。
バランス型投資信託は、それほどリスク分散にはなっていないのではないかというのが実感です。
実際の金融マーケットは必ずしも教科書通りに行かずにリスク分散になりづらくなっています。
一方で、リターンの少ない債券を入れることで全体のリターンは減ります。
長期運用で、購入するタイミングを分散することで、株式型のインデックスファンドのリスクもかなり軽減されるはずです。
まとめ
株式は、キャピタルゲインが狙える商品です。
キャピタルロスになるリスクもありますが、インデックスファンドへの投資とし、長期投資、購入タイミングの分散によって、リスクを軽減することができます。
バランス型ファンドは、リスク軽減するために株式と債券とをバランス良く保有するものです。
最近の金融マーケットは、中央銀行の金融政策の影響を大きく受けるため、株式も債券も同じような価格の動きとなり、バランス型ファンドがリスク分散になっていない可能性があります。
バランス型ファンドでリスクを抑えるのであれば、株式ファンドと現金の組み合わせにするほうがベターではないかというのが私の意見です。