日銀が金融政策決定会合でサプライズ

日銀が金融政策決定会合でサプライズです。

従来0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.5%程度に拡大することを決定しました。

日銀は、2%の安定的な物価上昇を目指して、2016年からイールドカーブコントロールを行ってきました。

短期金利をマイナス0.1%、長期金利の指標となる10年物国債利回りを0%程度に誘導することで金利を抑え込み、物価上昇を促したのです。

その後、長期金利の変動許容幅を0.25%まで断簡的に拡大していたものを、今回0.5%に拡大すると決定したものです。

一方で、賃金上昇を伴う物価上昇には至っていないとして、短期金利のマイナス金利は維持します。

また、月間の長期国債買入額を7.3兆円から9兆円程度に拡大、政策金利の先行き指針は据え置き、金融緩和策は維持します。

黒田総裁は市場機能の改善を図る目的と説明

足元で、消費者物価の上昇率は3%台半ばに達していて、2%の安定的な物価上昇目標を上回っているいました。

また、欧米が軒並み金利を上げている中で日銀だけが金融緩和策を維持している状態だったため、長期金利を抑え込んでいる形となっていました。

そのため、国債の市場機能が損なわれているいるとして、市場機能の改善を図る目的であると黒田総裁は説明しています。

金融マーケットは金利上昇、円高、株安、Jリート安で反応

黒田総裁は利上げではないとコメントしていますが、市場関係者は実質的な利上げと見ていて金融マーケットは大きく動きました。

日銀のサプライズ発表の後、10年物国債利回りは0.25%だったものが、0.46%まで急上昇しました。

為替は、日米金利差の縮小を受けて、1ドル137円台前半だったものが、1ドル132円台後半まで4円強、円高が進みました。

金利上昇と為替の円高を受けて、日経平均株価は669円のマイナス。但し、長短金利差が収益源となる銀行株は上がっています。

金利上昇で借入金利の負担が増大するリートも下がっています。東証リート指数は、1,940ポイントから1,840ポイント近辺まで約1,000ポイント下がっています。

今後、円高が進むと海外マネーの流入も勢いが鈍る可能性があります。

まとめ

前にも書きましたが、世界的なインフレの中で無理やり金利を押し下げることで、賃金が上がらない悪い物価上昇となってしまっていたと思います。

円安も更なる物価上昇を促進する側面がありましたので、金利を上げて、短期的に円高に向かうことは物価上昇を抑える効果があると思います。

また、欧米が利上げをしていく中で、長期金利も上昇し、日本国債にも上昇圧力がかかっていたものを抑え込んでいましたので、市場機能の機能不全が懸念されていました。

国債市場の健全性を保つためにも、今回の決定は市場にとって良い結果だったのではないかと思います。

円高で米ドルや不動産も買い場を探る展開になると思いますので、引き続き、日銀の動きも良く見ていきたいですね。

関連記事

世界的なインフレの中で金融緩和を続けることによるひずみ