前回までに何回かに分けて投資信託について説明してきました。
個人投資家はアクティブファンドではなく、インデックスファンドを長期・分散・積立で買っていくことが基本であるということがお分かりいただけたかと思います。
かつ、インデックスファンドでもS&P500指数あるいは全世界株式指数に連動する株式投資信託が最もパフォーマンスが期待できるのではないかと考えています。
一方で、特に個人投資家が買ってはいけない投資信託もあります。
これらの買ってはいけない投資信託の多くはアクティブファンドなので、インデックスファンドへ投資をすることで避けることができます。
但し、銀行や証券会社の窓口に行ってしまうと銀行員が勧めるのだから大丈夫だろうと思って購入してしまう危険があります。
また、テーマ型株式投資信託などはテレビや新聞で盛んにCMを行っているので、きっと良いパフォーマンスが期待できるであろうと思ってしまうかもしれません。
こうした投資信託を購入することがないように意識しておきましょう。
手数料が高い投資信託
投資信託の手数料には購入時手数料と信託報酬があります。
多くのアクティブファンドの購入時手数料は3%プラス消費税です。
投資信託の運用成績が3.3%以上の成果を上げないと購入時手数料を取り戻すのに一年以上かかってしまいます。
これだけでスタートから大きく出遅れてしまいますので、こうした購入時手数料が高い投資信託は絶対に避けなければいけません。
今は、インデックスファンドであれば、ノーロードと言って手数料無料の投資信託がありますので、ノーロードの投資信託から選ぶようにしましょう。
また、信託報酬も高いものは避けましょう。
インデックスファンドは0.1~0.2%と非常に低くなっていますが、アクティブファンドは概ね1~2%と10倍近くなっています。
信託報酬は目論見書に書いてありますので、必ずチェックして信託報酬の高い投資信託は避けましょう。
この時点でアクティブファンドは対象から除かれますね。
通貨選択型
通貨選択型といって投資信託が運用している商品の運用成果に加えて、選択した通貨と元の通貨との金利差や為替差損益が運用成績に追加されるものがあります。
デリバティブを駆使して、こうした仕組みを入れているのですが、もともとの運用資産の値動き以外に為替の動きが入ってきますので投資信託の運用成績の要因が非常に分かりにくくなります。
もともとの運用資産の成績が良いのに為替で大きく損失を出しているというようなことがよくあります。
特に通貨選択型で選ぶことができる為替は新興国通貨が多いです。
新興国通貨は、政情が不安定のため何が起こるかわかりません。突然、為替が大きく下落することが起こります。
近年ではトルコリラやロシアルーブルといった通貨が大きな価格変動をしました。
また、新興国は基本的にはインフレですので、理論的には物価が上昇した分、通貨は下落することになります。
その国の購買力は、他の国でも等しくなるように通貨で調整されると考えられるためです。
このように通貨選択型は非常にリスクが高い商品ですので、個人投資家はその通貨に詳しくない限り、基本的には買わない方が良いでしょう。
ハイイールド債
格付けの低い会社の債券ばかりを集めたハイイールド債で運用する投資信託があります。
ハイイールド債は、発行体の信用力が低い一方で利回りも高いため、高いインカム収益が狙えるものとして人気があります。
但し、こういったハイイールド債は、信用力が低いため金融マーケットに参加する投資家が、リスク回避的になると価格が大きく下がります。
中央銀行が金融引き締めをして、市場のお金の量が少なくなってくるとまずはこういったハイリスクの商品から投資家は資金を引き上げます。
安定的なはずの債券なのに、価格変動リスクが高いのです。
このように、信用リスクの高いハイイールド債券で運用する投資信託は価格変動リスクが非常に大きいので避けるべきです。
テーマ型株式投資信託
AIや5G、脱炭素など時流に乗ったテーマに絞って、そのテーマの企業の株式で運用する投資信託があります。
そういった時流に乗ったテーマに沿った投資信託は販売がしやすいので、銀行や証券会社が運用会社と連携してそういった投資信託を作るのです。
こういったテーマ型投資信託は作られた段階で、既に投資対象としてはタイミングが遅くなってしまっている可能性があります。
既に、世の中で話題になっている段階で、既に株価は上がっていると思った方がいいでしょう。
しかも、こういったテーマ型は、アクティブファンドですので手数料が高くなります。
銀行や証券会社の窓口などで販売されていることが多いと思いますので、窓口で勧誘された場合に、安易に購入することがないように要注意です。
ヘッジファンド
デリバティブを駆使して、売りと買いを交互に織り交ぜながら、市場が上がっている時も下がっている時もいつでも絶対収益を狙いますと言って販売している投資信託があります。
このようなデリバティブを駆使しているような投資信託は、ヘッジファンドと呼ばれています。
基本的には、機関投資家やプロ投資家向けなのですが、下落相場が続いている時などに個人投資家向けにも販売されるときがあるので要注意です。
こうした投資信託は、実際には運用会社にしかどのような運用を行ったいるのかの詳細はわかりません。
実施に、下落相場が続いている時には、やはり投資信託の価格も下がっていたりして、どういう時に投資信託の価格が上下するのかが非常にわかりにくくなっています。
おそらく、銀行や証券会社の担当者もわかっていないので相当にリスクが高い商品であると言えます。
運用しているもののリスクがわからないときには買ってはいけないのが投資の鉄則です。
まとめ
基本的には、インデックスファンドを選べば、こうした手数料が高い投資信託やリスクの高い投資信託を買うことはないと思います。
しかし、銀行や証券会社から勧められるとプロが言っているんだからということで購入してしまうこともあるかもしれません。
そういった場面になっても、購入することがないように、今回上げたタイプの投資信託は避けるように意識しておきましょう。
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