「つみたてNISA」で選択すべき投資信託は?S&P500一択の理由

投資信託の選び方

「つみたてNISA」による資産形成を行う場合に、どの投資信託を選べば良いでしょうか。

たくさんあって悩んでしまいますよね。

今日は、投資信託を選択する際のポイントをご紹介します。重要なポイントは以下の5つです。

  • インデックス(パッシブ)型とアクティブ型
  • バランス型と株式型
  • 投資対象地域
  • 為替ヘッジの有無
  • 手数料

これまでのプライベートバンカーとしての知識や経験と日々収集している情報をもとに私の見解を述べますが、あくまでも投資は自己責任であることを理解してください。

➊インデックス(パッシブ)型とアクティブ型

投資信託の運用会社が用いる運用手法には大きく2種類があります。インデックス(パッシブ)型運用とアクティブ型運用です。

インデックス(パッシブ)型運用とは、市場参加者がベンチマークとする指数(インデックス)に連動したパフォーマンスになるように運用する手法です。

インデックスの具体例をあげると、日本株であれば日経平均株価やTOPIX、米国株であればNYダウ平均株価やS&P500指数が代表的なものです。

これに対して、アクティブ型運用は、ベンチマークとなるインデックスよりも高いパフィーマンスとなることを目指して独自の投資手法による運用手法です。

アクティブ型運用の方が、分析にコストが掛かりますし、優秀なファンドマネージャーを雇う必要がありますので、手数料が高くなります。

ところが、コストを掛ければパフォーマンスが良くなるかというとそういうわけでもなく、アクティブ型運用のパフォーマンスがインデックス型運用を上回るケースそれほど多くありません。

調査タイミング等の問題もあるので一概には言えませんが、約7割のアクティブ型運用がインデックス型運用のパフォーマンスを下回っているという調査もあります。

よほど、信頼できるアクティブ型投資信託がある場合を除き、基本的にはインデックス型投資信託から選択するべきです。

➋バランス型と株式型

バランス型投資信託は、債券での運用と株式での運用をバランス良く組み合わせた投資信託です。教科書的には、株式の運用を60%にして債券の運用を40%にすることでバランスの良いポートフォリオになると言われています。

一般的に好景気の場合には株式が値上がりし、景気が悪化してくると比較的安定している債券が値上がりすると言われています。株式と債券の値動きは反対の動きになることが多いため両者をバランス良く保有することでリスク分散が効いているということになります。

しかし、近年のマーケットでは、米国の金融政策の影響を受けることが大きく、金融緩和で資金がだぶついていれば株式も債券も値上がりしますし、反対に金融引き締め局面では、両者ともに値下がりします。

最近の米国利上げ(金融引き締め)を受けての株安と債券安(利回り上昇)を見てもわかるように、必ずしも反対の動きをするというわけではないので、それほどバランスよく分散する必要はないというのが私の考えです。

一方で、株式型投資信託や債券型投資信託のようにどちらかへの投資に絞った投資信託もあります。

米国株のチャートを見ると長期では右肩上がりになっていることがわかります。ブラックマンデーもリーマンショックも短期的には大きな値下がりになりますが、長期で見るとそういった値下がりを取り戻して右肩上がりで上昇していることがわかります。

長期投資で、かつ時間分散しながら下がったときでも買って行き、平均取得単価を下げていく「つみたてNISA」の投資手法であれば、株式型投資信託の選択で良いでしょう。

➌投資対象地域

株式投資信託の中でも、投資する対象地域によって全世界株型、米国株型、日本株型、新興国株型とタイプが分かれています。

どこの地域のタイプを選択するべきでしょうか。

二度の世界大戦を経て、世界は完全に米国主導の資本主義となっています。素直に現代の経済の中心である米国株型を選択するべきでしょう。

世界の金融マーケットは、米国の金融政策次第で動きます。通貨も米ドルが世界の基軸通貨となっています。

資本主義は、企業が成長して利益を継続的に得ることを前提とした経済の仕組みです。利益をあげられなければ退場を迫られます。

そんな資本主義の中心である米国で選別された優良企業の集団であるインデックスに投資するのが最も良いでしょう。

S&P500指数は米国株のインデックスですが、世界経済の中心である米国株の中でも主要な500社の株価指数です。指数が選定する銘柄は順次見直されていきますので、エリートクラブと言って良いでしょう。

日本株は、バブル崩壊後、いまだにバブル時高値に達していません。長期で見ても右肩上がりになっていません。

新興国は、ロシアやトルコを見ればわかるように政情が安定していませんのでリスクが高すぎます。

全世界への分散は一見良さそうですが、低成長の日本や欧州が入っていたり、ハイリスクの新興国が入っていたりしますので米国と比べてパフォーマンスが見劣りします。

最も高いパフォーマンスを期待できる米国株型を選択で良いでしょう。

➍為替ヘッジの有無

これまでに米国株に投資する投資信託が投資対象として最も期待できることをお伝えしました。

米国株への投資ですと、米ドルで発行されている株式への投資ということになりますので、投資信託の価格にはドル円の為替レートの動きも反映されます。

一方で為替ヘッジありというコースもあり、これは円で投資した場合にドル円の為替レートの変動の影響を排除したものです。

日本の少子高齢化、企業の競争力低下を考えると長期的には、円安ドル高の傾向が強まると想定されます。

そうした円安リスクが強い中で、保有資産を円だけに集中しておくことはかなりリスクが高いと言えます。

資産の一部を、世界の基軸通貨である米ドルと連動する投資信託を保有して、円安リスクをヘッジしておきたいところです。

また、為替ヘッジを行う場合には対象通貨の短期金利差がコストになります。ドル円の為替ヘッジを行う場合には日米の短期金利差がヘッジコストになりますので金利差が拡大している現状ではコストが高まります。

こうしたことからも為替ヘッジなしの投資信託を選択するべきです。

➎手数料

「つみたてNISA」では金融庁が対象商品を厳格に選定していて、選定基準に販売手数料がゼロ(ノーロード)ということが条件の一つになっています。

一方で、保有期間中にかかる信託報酬というのがあります。

こちらは、投資信託の価格から日々引かれていて、支払っている感覚がないのですが、パフォーマンスが低調な投資信託はこの信託報酬が高い場合がありますので要注意です。

この信託報酬率は目論見書で確認できますので信託報酬率の安い投資信託を選びましょう。

最後に、解約時の手数料である信託財産留保額というものがあります。これも目論見書で確認し、信託財産留保額がないものを選びましょう。

まとめ

ここまで読んでいただいた読者の方はもうおわかりですね。

インデックス型で、株式、米国、為替ヘッジなし、信託報酬率が低いものというのが選択すべき投資信託です。

「S&P500連動の為替ヘッジなし」が私が考えるベストの選択です。投資信託自体がリスク分散されていますので、複数の投資信託を選択する必要はなく一択で十分と考えます。

つみたてNISA口座を開設する金融機関によって取扱商品が異なりますが、複数あるS&P500の投資信託の中から選択できる場合はその中で信託報酬の低いものを選びましょう。

投資にリスクはつきものですが、20年後にはきっと「あの時始めておいて良かった」と思えるのではないでしょうか。