FOMCは利上げペース鈍化も政策金利の最終到達点は市場予想を上回る

14日に米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備理事会)が、金融政策を決定するFOMC(連邦公開市場委員会)を行ないました

FRBが公表した来年以降の金融政策の見通しから、今後の金融マーケットの動きも垣間見えます。

公表された内容をしっかり見ておきましょう。

利上げ幅は予想通り0.5%

大方の予想通り、政策金利を0.5%引き上げると公表されました。

残回までの4会合で0.75%ずつ利上げしてきましたので、0.5%の利上げはペースが緩んだということになります。

但し、通常は0.25%の利上げですので、0.5%でもまだ強い利上げを維持していることには変わりありません。

政策金利見通しの最終到達点は5.1%

利上げ幅のペースダウンはほぼ市場では織り込み済みでした。

焦点となっていたのは政策金利見通しの最終到達点です。

今回の利上げで4.25~4.5%となった政策金利について、2023年末の見通しは参加者予測の中央値で5.1%でした。

前回9月の時点では、4.6%でしたので0.5%引き上がったことになります。

11月の時点で最終到達点が上がることは示唆するコメントがありましたが、市場予想は4.75~5%でしたので、ややサプライズな内容でした。

市場予想は来年0.25%の利上げが二回行われることを予想していたものですが、今回のFOMCで示された5.1%の水準は0.25%の利上げが三回必要となる水準です。

市場の予測を上回る金利最終到達点の見通しが示されたことで、市場の楽観的な期待が剥がされた格好となりました。

議長のコメントも総じてタカ派的

会合後の記者会見でのパウエル議長のコメントもタカ派的な姿勢を維持する内容でした。

10月と11月の消費者物価の上昇率が鈍化していることを歓迎しつつも「インフレが持続的に低下していることを確信するには、さらに多くの証拠が必要だ」とコメントしています。

また、政策金利の到達点の見通しについて、「再び引き上げることがないとは言えない」とも述べています。

声明文の中で「継続的な利上げが適切になるだろう」との文言もそのまま維持されています。

タカ派的な姿勢を維持することで、市場の楽観的な見方を牽制する内容となっています。

失業率の見通しを4.6%に引き上げ

2023年末の失業率は4.6%と前回月時点の4.4%から引き上げました。

失業率は、現在3.7%ですから現状よりも景気が悪化することはFRBも織り込んでいると言うことだと思います。

パウエル議長は、「景気後退になるかどうか、そうなった場合、それが深刻なものになるかどうかも分からない」とコメントしています。

インフレの抑制を重視しており、深刻なものになるかどうかわからないが、多少の景気悪化はやむをえないと言うメッセージにも受け取れます。

NYダウは下落で反応

FOMCの結果公表後、NYダウは下落に転じました。

公表前は、前日比で200ドルほど上昇していましたが、公表後に一気に下げに転じ、 前日比142ドル安で終わってます。

焦点だった政策金利の最終到達点が予想より高かったこと、FRBが総じてタカ派的な姿勢を維持していることから、楽観的な見方が後退した形になっています。

まとめ

全体的に市場の楽観的な見方を戒めるような内容でしたが、利上げのペースがこれまでよりも緩やかになったことは事実です。

来年の政策金利のピークも示されました。

最終到達点に達した後にどの程度の期間、その政策金利が維持されるのか、利下げに転じるタイミングはいつになるのかが次の焦点になると思われます。

引き続き、こうしたFRBの動きは注意して見ておきましょう。

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