投資信託に関するリスクについて理解しよう

今日は投資信託に関するリスクについて説明します。

投資は、リスクとリターンの関係を分析して、自分がとれるリスクに見合ったリターンを得られる投資先にお金を置いていくことであるとこれまでに説明しました。

リスクの分析や、自分がとれるリスクといってもリスクにはどのようなものがあるかがわからないと検討のしようがないと思います。

今日は、投資に関するリスクについて検討ができるようになるために、リスクについて説明します。

投資信託は、銘柄の分散が図られていて、リスクは小さくなっているものの、投資信託を選択する際に、その投資信託のリスクにはどのようなものがあるかを理解しておいた方が良いです。

リスクを理解したうえで投資信託を選ぶことができるようになりましょう。

運用におけるリスク

リスクは、その投資したお金が減ってしまう可能性のことを言います。

預金であれば、預けている銀行がつぶれない限りは、リスクはゼロといって良いでしょう。但し、日本では、金利がほぼつきません。

投資は、預金からお金を置く場所を変えることでリターンを狙うものですが、そこにはお金が減ってしまうリスクがつきものです。

お金が減ってしまう要因としてどのような種類のリスクがあるのかを理解しましょう。

運用におけるリスクの主要なものは、信用リスク、市場リスク、流動性リスクの3つです。

そのほかにカントリーリスクや地政学リスク、金利リスクや為替リスクがあります。

➊信用リスク

信用リスクは株式や債券の発行体が破たんするなど債務不履行となってしまうリスクです。

投資信託が投資する株式や債券の発行体が破たんしてしまった場合には、その株式や債券の価値がゼロとなってしまいます。

単独の株式や債券に投資する場合は、この信用リスクが集中していますので、保有している株式や債券の破たん可能性が高まると価格が大きく下がります。

そして、実際に発行体の破たんや債務不履行が起きると価値はゼロになってしまいます。

ところが、投資信託の場合は投資家から集めたお金を数多くの種類の株式や債券に分散して投資しています。

個別の株式や債券の信用リスクが高まった場合も、分散が効いていますので、全体で見ればその影響はそれほど大きくないということになります。

ただし、影響は大きくないといっても投資信託が投資している株式や債券の中からデフォルトする銘柄があると純資産総額への影響がありますので、特にアクティブファンドの場合は、投資信託が投資対象としているものは良く確認した方が良いでしょう。

➋市場リスク

市場リスクは、市場の価格変動によってもたらされるリスクのことです。

株式や債券等の価格変動リスクが主なものになりますが、金利リスク、為替リスクもあります。

➋‐1 価格変動リスク

株式や債券の価格が市場全体の価格変動に影響を受けるリスクです。

価格の動きは需要と供給によって決まります。

発行体の信用とは関係なく、市場全体の需要と供給のバランスが崩れると価格は変動します。

個別の商品も市場の全体の動きに影響を受けます。

投資信託もこれらの影響を受ける株式や債券に投資しているものですので、価格変動リスクの影響を受けます。

価格変動リスクの影響を緩和するためには購入するタイミングをずらすことが効果的です。

価格変動リスクを予想することは非常に難しいです。

将来の価格の動きは誰にもわからないので、購入するタイミングあるいは売却する際に最適なタイミングとすることは至難の業です。

割安なタイミングで購入し、割高のタイミングで売却することが望ましいのですが、その時の価格が将来に振り返ったときに割安なのか割高なのかはその時点ではわかりません。

従って、タイミングを分散して購入したり売却することが重要になります。

タイミングを分散することで、長期で見れば購入価格や売却価格が平均されることになります。

➋‐2 金利リスク

市場の金利変動によって、債券や株式の価格が変動するリスクです。

債券は、発行時に固定金利で発行されている場合、市場の金利が上がると相対的に利回りが低くなるので債券価格は下がります。

一方で、市場の金利が下がると相対的に利回りが高くなりますので債券価格は上がります。

株式は、理論的には、将来にわたって企業が獲得する期待収益を現在価値に割り引いた価格が適正な価格として計算されます。

したがって、金利が上がると割引率が上がって、理論価格が下がります。

このように、債券も株式も市場金利の動向に影響を受けます。

➋‐3為替リスク

市場の為替変動によって影響を受けるリスクです。

現地通貨建てで発行される株式や債券への投資には、その国の通貨の為替変動の影響を受けます。

投資信託には、為替ヘッジがある商品と為替ヘッジがない商品があります。

為替ヘッジがある商品は、コストを払う代わりに為替変動リスクがなくなります。

一方で、為替ヘッジがない商品は、現地通貨の為替変動の影響を受けます。

米ドルは、世界の基軸通貨であり、市場の流通量も高く、ある程度為替リスクは想定しやすいと言えるでしょう。

米ドル以外の通貨で発行されている株式や債券に投資している投資信託の場合は、為替リスクが比較的大きくなりますので注意しましょう。

➌流動性リスク

流動性リスクは保有している買いたい株式や債券が買えない、あるいは保有している株式や債券を売却できなくなるリスクです。

買いたいときに買えない、売りたい時に売れなくなるリスクでです。

売りたいときに売れないと大きく価格を下げて売らざるを得ないという場合もあります。

株式は、上場している銘柄であれば流動性は高いと言えます。

但し、上場している株式でも小規模の株式や人気が少ない株式の場合には、買い手が少ないということになり一気に売却することが難しい場合もあります。

また、未上場の株式は流動性は極めて低いと言えます。

市場で売却できないので相対で売却するしかないので、買い手が見つからなければすぐには売却ができません。

債券は、市場がないのですべて相対での売買になります。

上場している企業が発行している債券や、国や地方自治体が発行している債券は買い手は多く、比較的に流動性は高いと言えます。

一方で、優先株など資本性の高い債券や仕組債などの特殊な債券は、特定の買い手に限られますので非常に流動性が低いものです。

ハイイールド債などの格付けが低い債券も市場の状況によって流動性が極端に低くなる時がありますので注意が必要です。

債券型の投資信託の場合には、どんな債券に投資しているのかの中身をよく確認しましょう。

➍その他のリスク

➍-1 カントリーリスク

株式や債券を発行している国の政治や経済動向に影響を受けるリスクです。

新興国は政情も不安定でありリスクが高いと言えます。

➍‐2 地政学リスク

地政学リスクは紛争や戦争が起きたときにリスクにさらされるものです。

戦争に関連すると経済制裁を受けてリスクが高まる場合があります。

まとめ

投資信託に関連するリスクについて、概要をまとめました。

こうしたリスクがあることを把握して、投資信託がそのリスクの影響を受けた場合にどれほどの損失を受ける可能性があるかを事前に想定しておくことが重要です。

実際には、個人投資家にとっては、こうしたリスクが生じた場合にどれほどの影響を受けるかを想定することは難しいので、リスクがわかりやすいインデックス・ファンドを長期、時間分散で買って行くというのが王道になります。

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