32年前はバブル崩壊の始まり
ドル円が32年振りとなる147円台後半まで円安が進みました。
1998年8月に147円64銭をつけていますが、それより円安の水準となると1990年8月まで遡ります。1990年というと世間はまだバブル経済の真っ最中です。
日本ダービーでは、アイネスフウジンが逃げ切り勝ちで東京競馬場にナカノコールが湧き起こりました。
イタリアワールドカップでは、マラドーナがスルーパス一本でブラジルを破り、PKを外しながらも勝ち上がるドラマを見せました。
鈴鹿の日本グランプリでは鈴木亜久里が3位に入り、日本人で初めて表彰台に立ちました。F1ブームでした。
少し後の1991年にはトレンディドラマ『東京ラブストーリー』が放映されています。
これらの出来事は、すべてバブル経済時代のものとして記憶されています。
しかし、今あらためて日経平均株価のチャートを見返すと1989年12月に38,915円の市場最高値を付けています。1990年代には、20,000円台前半まで大きく下げていて、バブル崩壊が始まっていたのですね。
華やかなバブル経済の裏側では、金融市場は株安、債券安による資金流出もあって為替相場も円安となってトリプル安になっていた時代でした。
この時は160円台まで円安が進んでいます。
米CPIは市場予想を上回る8.2%上昇
切っ掛けは、米国消費者物価指数(CPI)でした。米労働省が13日に発表した9月のCPIは、前年同月比8.2%上昇と市場予想(8.1%)を上回る上昇でした。
7月が8.5%、8月が8.3%ですから、少しずつ上昇ペースは鈍化しているもののインフレ圧力は根強いことが確認されました。
次回11月のFOMCで4会合連続での0.75%の大幅利上げの可能性が高まっています。
FRBは12日に前回9月のFOMC議事要旨を発表し、「金融引き締めが甘すぎることと厳しすぎることでは、前者の方がコストが高くなる」と強調し、インフレ抑制への強い姿勢を強調しています。
日米金利差の拡大からドル円が147円台後半まで円安が進んだというわけです。一方で、株価は上昇に転じており、NYダウは前日比827ドル高。日経平均は853円高で27,000円台を回復しています。
株式市場はここまでに大きく下がっていたので、割安感から買いが入ったと見られています。
米ドルへの通貨分散を意識しましょう
ここまで円安が進むと、海外旅行も行けなくなりますし、輸入物価の高騰により生活を苦しめることにもなりかねません。ますます国の経済力が低下していくことが想定されます。
インバウンドに勝機があると思いますが、コロナがまたいつ感染拡大するかわかりません。コロナ以外のウイルスが発生するリスクもあります。人類の歴史はウイルスや伝染病との闘いの歴史でもあります。
長期的には、更なる円安も想定しておく必要があります。資産の外貨分散を意識しておくべきです。分散と言っても、新興国通貨を持ってはいけません。世界経済の中心であり基軸通貨である米ドルに円から分散しておけば十分ですね。
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