40代以上になってからライフシフトを目指すには、体力と気力の勝負になります。
特に、副業としてサラリーマン業をやりながら、個人ビジネスを始める場合には、副業とサラリーマンを両立できる体力とタフなメンタルが求められます。
体力を維持するには、日々の習慣が重要になります。
しっかりとした質の高い睡眠を取ること、適度な運動をすること、糖質を抑えた食事にすること、アルコールは控えることなどによって、健康な身体を維持することができます。
メンタルの維持も、しっかりとした睡眠や適度な運動といった日々の習慣が大切になります。
規則正しい生活をして、朝日を浴びることなどが精神的にも良いことが知られています。
こうした日々の習慣の中に、適度な運動を加えることで、うつ病を抑制するなどメンタルにとって良い効果が期待できると言われています。
運動は、体力維持だけではなく、メンタルの維持にとっても良いというわけです。
今回は、このように運動がメンタルに与える影響だけでなく、より多くの影響を脳に与えることについて書かれた書籍をご紹介します。
『新版・一流の頭脳 運動脳』(サンマーク出版、2022年)です。
著者は、スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセン氏です。
人口1,000万人のスウェーデンで67万部超を売り上げています。
本書では、運動は、うつ病を抑制して意欲を高めさせるだけでなく、集中力を高め、記憶力を高め、創造性まで高めてくれると書かれています。
更に、認知症にまで良い効果があるとされています。
ウォーキングやランニングなどの簡単な有酸素運動が、巨額の開発費がかかる薬と効果が変わらないとのことです。
また、脳トレなどの教材などよりも、運動ははるかに効果が高いとも書かれています。
精神科医が科学的実証データに基づいて書いていますので、信憑性が高いと思われます。
日々の習慣に運動を取り入れて、健康な身体に加えて、健全なメンタルや、一流の頭脳を手に入れたいビジネスパーソンには必読の書と言えます。
運動により活性化させた頭脳で、クリエイティブなアウトプットをしていきましょう。
現代人は原始人と変わっていない
著者は、人間の身体は、12,000年前の原始時代からそう大きくは変わっていないと言います。
生活習慣は、サバンナで動きまわっていた原始時代と大きく変わり、現代人は身体を動かすことが少なくなっています。
しかし、身体の機能は何一つ変わってなく、脳もそう大きく変わっていないのです。
生活習慣は一変しましたが、私たちの脳は、サバンナを動き回っていた頃とほぼ変わらないということです。
したがって、体を活発に動かすことで脳が敏感に反応すると著者は書いています。
私たちの先祖は狩猟のために、または住居を探して走り回っていることで、生き延びてきました。
生き延びるために体を動かすと、脳がご褒美を与えるようにプログラムされているとのことです。
そのため、私たちも運動すると、今でも脳がご褒美を与えてくれて、たくさんの良い効果があると書かれています。
これこそが12,000年もの間、脳は変わっていないことを示す一つの証拠であるとのことです。
運動することで得られる効果
本書では、運動によって得られる効果について、それぞれ、どのようなメカニズムで脳に影響を与えるかということが説明されています。
また、実証研究によって、その効果が証明されている科学的な説明も書かれています。
詳細は、本書を読んでいただければと思いますが、今回はその一部をご紹介します。
集中力が高まる
運動によってドーパミンの分泌量が増えます。
そして、ドーパミンの分泌によってポジティブな気分になりその行動を繰り返したくなります。
脳が生存するための行動へと向かわせるメカニズムです。
これによって、幸せな気持ちになると同時に集中力も高まるということです。
ドーパミンがあまり放出されていないと、もっとドーパミンが分泌されることに注意がいき、集中できなくなるとされています。
つまり、運動でドーパミンが分泌されることで、注意散漫にならずに、集中できるとのことです。
身体に負荷がかかればかかるほど、ドーパミンはたっぷりと放出されます。
したがって、歩くよりも走る方が効果的であり、可能であれば30分続けると良いとされています。
記憶力が高まる
著者は、運動すること以上に記憶力を高められるものはないと書いています。
運動を行うことで、記憶の中枢である海馬が大きくなるということが実験でわかっています。
特に、心拍数が上がる持久系のトレーニングを行った場合には、海馬が成長する実験結果が得られています。
記憶力が高まる効果が最も期待できる運動は、ウォーキングや軽いジョギングだそうです。
こちらは集中力とは異なり、疲労を覚えるほどに運動をするとかえって逆効果になるということです。
意欲が高まる
運動は、うつの症状にも効果があると書かれています。
運動は、抗うつ剤に匹敵する効果があり、副作用が一切ない薬とも言えるとのことです。
気持ちが滅入っていても、運動すれば晴れやかな気分になるということです。
うつの気分は、セロトニンやノルアドレナリンドーパミンが不足することで生じるとされています。
運動は、ノーリスクでこれらを増やすことができるということです。
また、「BDNF(脳由来神経栄養因子)」という物質が、脳の細胞を成長させる役目を果たしています。
うつ病の症状がある場合は、この「BDNF」の分泌が低いとされています。
BDNFを増やす活動は、有酸素運動です。
筋肉トレーニングでは、同じ効果が得られないと言われています。
心拍数を上げるインターバルトレーニングがおすすめとのことです。
こうして「BDNF」が分泌されて、脳で新しい細胞が作られることで、うつの症状を防ぐことができるということです。
創造力が高まる
さらに、運動は創造力まで高めてくれます。
村上春樹をはじめとした多くの作家やミュージシャン、科学者、経営者などが創造性を高めるために運動をしていると書かれています。
スティーヴ・ジョブズは歩きながら会議を行ったことで知られています。
今では、多くの企業経営者が、このウォーキングミーティングを取り入れています。
運動が創造性の発揮を促すメカニズムはまだ解明されていませんが、おおよそ以下のような仕組みではないかと著者は書いています。
脳では、膨大な数の情報を選別するフィルターとして視床が働いています。
脳の他の機能が正常に働いていることで、視床がきちんと情報を選別して、創造力を発揮すことができるのではないかと言われています。
前頭葉の血液量を増やして機能を向上させたり、ドーパミンのシステムが調整されて、視床の働きが制御されて、アイデアが溢れてくると考えられています。
創造性を増やすために効果がある運動は、ランニングであるとのことです。
ウォーキングでも効果はあるが、走った方がより効果は大きいとされています。
認知症予防に効果
毎日、意識的に歩くと認知症の発症を40%減らせることが出来ると書かれています。
運動を習慣にしている人の海馬は萎縮でず、むしろ成長するいうことです。
また、脳の司令塔である前頭葉の萎縮によって、知的な能力が少しずつ損なわれていくとされていますが、これも運動によって食い止めることができるとされています。
運動によって、カロリーをきちんと消費する人は、前頭葉の萎縮の進みが遅くなるとのことです。
脳の老化を予防するなら、毎日か少なくとも週に5回、20~30分3歩くと効果があるとされてます。
または、週に3回、20分のランニングや、同等の強度であれば、水泳やサイクリングでも良いということです。
筋力トレーニングの効果はまだわかっていないため、現状では有酸素運動をお勧めしています。
まとめ
運動によって、集中力、記憶力、意欲、創造性に良い影響があることがわかりました。
また、うつの症状に対しても、副作用の心配がなく、薬と同等の効果が得られるとのことです。
認知症の予防にも、運動が効果的であることが書かれています。
40代以上のライフシフト活動にあたっては、体力が必要なことはもちろんですが、メンタルを良い状態にし、脳を活性化させてクリエイティブな活動をする必要があります。
運動を習慣にして、幸せな人生を掴みましょう。