誰もが直面する可能性のある実家の相続問題
誰もが直面する可能性がある相続問題。全く関係がないという人は少ないのではないでしょうか。
しかし、相続は法律や税金が絡むのでやや難しく、つい敬遠したくなってしまうテーマです。
実家が持家の場合は、さらに不動産が関係してきますので、不動産に関する知識も必要になってきます。
また、親に話しを切り出しにくいということもあり、まだ準備しなくてもいいのではないかと先送りしたくなってしまいます。
今日は、そんな実家の相続問題にどう対処するべきかをわかりやすく解説している書籍を紹介します。
斉藤 英志著『損しない実家相続のコツ Kindle版』です。
空き家は放っておくと大変な出費に
実家の相続問題は空き家問題でもあります。
もう誰も住まなくなっている空き家が日本にはたくさんあります。国の調査によれば、空き家は876万戸あると言われています。
こうした空き家の中には、実家を相続したが、住居はすでにあるために実家には住まずに空き家となったというケースも多いでしょう。
空き家対策は国の重要施策となっていますので、実家を相続した場合に、空き家として放置しておくと、お金の負担が激増してしまうリスクがあります。
行政から「特定空き家」に認定された場合には、固定資産税が増加したり、行政の指示に従わなければ過料を払ったり、強制的に解体されてその費用を支払わなければならなくなる恐れがあるのです。
「特定空き家」とは簡単に言うと、「ごみなどで衛生上有害である」、「いまにも壊れそうで危険である」、「不審者や動物が勝手に住み着いて、周辺住民の生活に支障をきたしている」というような状態の空き家として行政が認定するものです。
土地の固定資産税は「特定空き家」になると6倍、解体費用は200~300万円かかる場合があります。
このように相続した実家を空き家として放置すると大変な出費になるリスクがあるのです。
対策は「売る」、「貸す」、「住む」が基本
空き家として放置状態にしないことが重要な対策になります。
そのためには、「売る」「貸す」「住む」を考えることが基本になります。
こうした対策をとるにあたっても、相続人が複数になる場合に共有名義となってしまうと売りにくくなってしまったり、生前に対策をとるにしても親が認知症になった場合には対策が取りづらくなったりします。
本書籍では、そうした実態に起こりそうなことをあげて、親が元気なうちに早めに対策を検討することを勧めています。
「売る」方法については、自宅用として売るのが良いのか、賃貸用として売るのが良いのか、リフォームしてから売るのが良いのか、更地にしてから売るべきなのか等について解説されています。
「貸す」方法については、定期借家やリフォームの必要性、賃貸管理等について詳しく解説されています。
また、「住む」場合には近隣のお付き合いに注意することなども書かれています。
相続対策は切り出しにくい
相続対策は、子から親に話を切り出しにくいという側面があると思います。そのため対策が進まないということがあるのではないでしょうか。
本書では、こうした相続の話をどう切り出すかということも書かれています。
親が元気なうちに話を切り出す必要がありますが、「こんなふうに切り出してみては」という参考例が書かれています。
「王道」の伝え方として、「元気なうちに聞いておきたい」「途中で変わってもいい」「認知症対策が気になる」「もしもの時に誰が面倒を見るか」ということを切り出すというものがあります。
友人の話を持ち出して切り口にする、あるいは自分が亡くなることもあるとして切り出す方法もあるでしょう。
親に話す前に兄弟姉妹と話してみるのも一つの手です。
この書籍を見せるというのが最も効果があるかもしれませんね。
不動産ビジネスで空き家を買う立場の視点で読んでも面白い
このように空き家対策は社会問題にもなっています。
実際に、相続した実家を売却に出すケースは今後もますます増えてくるでしょう。
不動産ビジネスの観点で見ると、空き家と言ってもリフォームすれば、まだまだ住める状態のものもあるでしょうから、そういった物件の供給が増えれば、購入するチャンスでもあります。
本書はこうした買い手側の立場から読んでも大変勉強になります。
まとめ
誰もが直面する可能性のある実家の相続問題ですが、なかなか話を切り出せずに対策が打てていないという人が多いのではないでしょうか。
本書を読み終えた時には、早めに親や兄弟姉妹と相談して対策を検討しておかないといけないという思いになります。
そのための話の切り出し方も書かれているので是非参考にしたいです。
こうした空き家対策として物件の売却はますます増えてくるでしょうから、買い手の立場から見るとビジネスチャンスでもありますね。