米国中間選挙は予想に反し民主党が善戦
米国の中間選挙の投開票が進んでいます。
下院は、共和党が優勢ですが、まだ過半数を確保していません。上院は拮抗しているとの速報です。
中間選挙は、四年に一度の大統領選の中間に行われます。前回大統領選から2年間の大統領の政策に対する審判の意味合いがあります。
現職の大統領に対して、世間の目は厳しくなりがちなのでしょう、与党が苦戦するのが通例です。過去50年で与党が下院の議席数を伸ばしたことは2回しかありません。
今回も戦前の予想では、インフレへの不満が高まっており、与党の民主党の苦戦が伝えられていました。ところが、現時点では、下院は共和党優勢ではあるものの予想に反し接戦となっており、民主党が健闘しているようです。
インフレ問題への批判はあるものの、争点となっていた妊娠中絶規制問題に中絶は女性の権利であるとの立場をとっている民主党に票が集まっています。
こうした、健闘の状況をうけてバイデン大統領は、「(共和党カラーである)赤い波は起きなかった」と記者会見で語っています。
一方で共和党のトランプ前大統領は、思わぬ苦戦を強いられたことで激怒していると報じられています。CNNの記者によれば、あたりに怒鳴りちらしているとのことです。
市場は株安で反応
9日の株式市場は、4日ぶりに反落しました。NYダウは、前日比646ドル安の3万2,513ドルとなっています。
前日までの株式市場は、共和党優勢の報道を受けて上げていました。大統領と議会がねじれることで、財政政策や減税政策がスムーズに進まずに、インフレが抑制されるとの思惑からです。
思わぬ民主党善戦で、大勢判明が遅れていることもあり、不透明感から9日の株価は軟調に推移しました。
10日に発表される10月の米国消費者物価指数(CPI)が発表されるまでは、様子見姿勢の投資家も多かったものと思われます。
今回の中間選挙で共和党優勢であれば、次の大統領選に向けて政権交代への期待が市場に拡がることも想定されましたが、そう単純には行かなそうです。
特に、若年層や女性に民主党支持が多いことが伝わってきます。現在の分断された米国の複雑な状況があらためて浮かび上がった中間選挙になっています。
10月の消費者物価指数は市場予想を下回る物価上昇
次の焦点は物価動向です。
この記事を書いている途中で、10月の米消費者物価指数(CPI)の速報が入ってきました。
前年同月比7.7%の上昇で、市場予想の+8.0%を下回っています。
これを受けて、10年米国債利回りが低下。4.0%台から3.9%台まで下がっています。為替は円高が進み、ドル円は1ドル143円台まで下がっています。
物価上昇が継続しているかどうかをFRBが注目しており、CPIが予想よりも物価上昇が抑えられていたことによって利上げペースが緩まるのではないかとの期待から市場が動いています。
次回12月のFOMCで、前回まで4会合連続で0.75%だった利上げがペースダウンすることを市場は織り込み始めたようです。利上げ、円安一辺倒だった市場の動きに転換点が近づいているかもしれません。