前回までに、投資信託に関連するリスクの概要について、説明しました。
全体像を捉えていただくために、一般的なリスクの概要を書いてきました。
今回からは、投資信託が運用している運用資産ごとの各論のリスク説明に入っていきます。
大きな概念では、信用リスク、市場リスク、流動性リスクとして説明できるものの、個別の運用資産によってリスクの内容は異なります。
運用資産ごとにリスクを理解して、投資信託の検討をすることが重要になります。
まずは、運用資産の種類ごとにどのようなタイプの投資信託があるのかを把握しましょう。
今回は、投資信託の運用資産による分類について、説明します。
株式系投資信託
株式で運用する投資信託です。
ただ単に株式だけでは、どのような株式に投資する投資信託なのか特徴がわかりません。
そのため、株式のタイプごとに更に細かく分類されます。
まず、地域ごとに分類されます。
世界全体、米国、日本、欧州、新興国などの分類です。
インデックスファンドは、地域ごとにいくつかの株価指数がありますので、その地域の指数に連動する商品となっています。
それから、重厚長大型の伝統的な大型株かIT系ベンチャー企業のような成長している小型株かという分類もあります。
大型株の中でも割安な株式に投資する手法はバリュー株投資と言われ、成長株に投資する手法はグロース株投資と言われています。
こういったバリュー株で運用する投資信託やグロース株で運用する投資信託があります。
また、高配当株に限定した投資信託もあります。
それから、テーマ型投資信託といって、IT分野や環境配慮の企業への運用に特化したものがあります。
債券系投資信託
債券で運用する投資信託です。
こちらも、株式と同様に地域ごと、国ごとに分かれます。
先進国か新興国かといった分類もあります。
また、債券の場合には、格付けに応じてローリスクローリターンのものか、ハイリスクハイリターンのものかという分類もあります。
格付けは、その債券の信用力を格付け機関が符号で表したものです。
信用が高い順に、AAAから始まってAA、Aその次はBBB、BBとなっていきます。
それぞれの符号にプラスとマイナスがあって、プラスはワンランク信用が高く、マイナスはワンランク信用が低くなります。
ここで、BBBマイナス以上の格付けが投資適格債と言われます。
一方で、BBプラス以下のものは、投資不適格債と言われ、信用力が低いものの利回りが高くなるためハイイールド債とも言われます。
投機的格付債、ジャンク債と言われることもあります。
投資適格債で運用する投資信託とハイイールド債で運用する投資信託があります。
ハイイールド債で運用する投資信託のリスクが高いことは言わずもがなです。
また、国債や地方債などだけに投資する投資信託や、銀行の債券や優先株などだけに投資するという投資信託もあります。
銀行は、自己資本比率を高めるために資本性の高い優先株のようなハイブリッド債と呼ばれる債券を発行していて、そういったものも運用対象とすることで利回りを上げています。
不動産投資信託(REIT)
不動産に投資する投資信託です。REITと呼ばれています。
対象となる不動産は、オフィスビル、商業施設、倉庫や物流施設、ホテルなどの商業用不動産と賃貸住宅の住居用不動産です。
住居用不動産は比較的リスクが低いとされています。
不動産は、株式や債券とは異なる動きをするため、資産配分として、保有資産の一部を保有していおくとリスク分散効果があります。
株式や債券による運用は伝統的な運用資産と呼ばれている一方で不動産も含めた伝統的運用と異なる運用資産はオルタナティブ(代替的)運用資産と言われています。
オルタナティブ系、ヘッジファンド
不動産以外にも、オルタナティブ系投資信託として、金や原油等の商品で運用している投資信託や、地震等の災害リスクを証券化した商品で運用している投資信託などがあります。
デリバティブを駆使して、マーケットが下がっているときにも儲かるような仕組みを入れているというような、ヘッジファンドといわれる投資信託もあります。
こうした投資信託は正直、複雑すぎて実際にどのような運用を行っているのか、運用手法がよくわからないものが多いので、個人投資家は手を出すべきではありません。
バランス型投資信託
株式や債券だけなどのように特定の資産で運用しているものではなく、株式や債券、不動産などでバランス良く分散している投資信託もあります。
このように複数の資産クラスで運用している投資信託はバランス型投資信託と呼ばれています。
まとめ
このように、一口に投資信託と言ってもさまざまな種類のものがあります。
しかし、下記リンクの記事の通り、個人投資家はインデックス・ファンドで運用することが基本です。
個人投資家はパッシブ型運用を行う投資信託(インデックス・ファンド)に投資する
さまざまな投資信託のタイプを説明しましたが、アクティブ・ファンドは、検討の対象から外して良いと思います。
したがって、テーマ型やハイイールド債、オルタナティブなどの特殊なものは検討対象外です。
次回は、インデックスファンドに絞って、運用資産タイプ別のリスクとリターンの特徴を説明し、投資戦略を考えてみたいと思います。