投資信託は米国商品で運用しているものに為替ヘッジなしで投資する

前回は市場リスクの中で、投資信託も外国の株式や債券に投資している場合には、為替の変動に影響を受けることを書きました。

今日は為替変動リスクについて説明したいと思います。

国内籍投信と外国籍投資

国内で販売されている投資信託の多くは国内籍投資信託です。

国内籍の投資信託は、円建てでお金を集めて純資産額や基準価格は円建てで表示されます。

これに対し、外国籍の投資信託は、外貨建てでお金を集めて、外貨建てで運用されます。

純資産額や基準価額も外貨建てでの表示になります。

外国籍の投資信託は、外貨を保有している場合にその外貨で投資することになります。

この後で説明しますが、為替ヘッジコースを選び、ヘッジコストを掛ければ円で投資することもできます。

投資信託の為替ヘッジ

国内籍投信の為替ヘッジ

国内籍投資信託は、投資家から円を集めて信託銀行が受託します。

信託財産から外国の株式や債券に投資する場合には、運用は外貨で行います

したがって、信託は外貨で保有していることになりますが、純資産額や基準価額は円建てでの表示になります。

信託内の運用資産の外貨の為替レートを反映して、円建てに換算し直して表示されます。

売却する際には、円建てでの売買となり、その時点での為替レートを反映した基準価額での取引となります。

これが為替ヘッジなしの場合です。資産価額や基準価額は為替変動の影響を受けるとということになります

一方で為替ヘッジを行うこともできます。これが為替ヘッジありのコースです。

為替ヘッジありのコースを選んだ場合、運用している外貨と円との短期金利の差をヘッジコストとして支払うことになります。

ヘッジコストを支払うことによって円でそのまま投資しているのと同じ効果が得られます。

つまり、投資信託は外国の商品で運用していたとしても為替変動の影響は受けないと言うことになります。

外国籍投信の円ヘッジ運用

外国籍投信では、外国の通貨で集めたお金を運用していますので、円資金で投資する場合には円への為替ヘッジが必要になります。

国内籍投信の為替ヘッジありと同じように現地通貨と円との短期金利の差をヘッジコストとして支払うことになります。

日本の短期金利は、きわめてゼロに近い水準ですから、ヘッジコストは無視できるものではありません。

こうした外国籍投信は、アクティブ型ファンドであることがほとんどですから、あえて円ヘッジをしてまで検討することもないでしょう。

外貨は米ドルへの投資が王道

米ドルは世界の基軸通貨です。貿易や原油なのどの商品取引も米ドルで行われることが一般的です。

世界中の中央銀行が外貨準備として保有しているのも米ドルが約6割を占めています。

世界での流通量は米ドルが圧倒的に多いのです。

第二次世界大戦後の世界経済は、米国中心となっています。基本的には、今後もそれは続くでしょう。

世界の取引の中心となっていて、流動性も高い米ドルが大きな暴落があることは考えづらいです。

紛争があったときなどは、安全資産として資産の逃避先にもなり、「有事のドル買い」と言われているほどです。

富裕層は、皆、通貨を米ドルにして運用し、米ドル建ての債券や株式で運用し、通貨分散を図っています。

新興国通貨はリスクが高い

新興国通貨は、政治のリスクが高いのであまりお勧めできません。

また、日本の高度経済成長時代を思い浮かべていただければわかるのですが、基本的にはインフレの状態です。

購買力平価と言って、世界中で同じ商品は同じ価格であるという理論から、為替は物価の上昇に応じて下落するものです。

ビッグマックが米国では1ドルで売られていれば、ある国でも1ドル相当になるように米国に比べた物価上昇の分、米ドルに対する為替レートが下がります。

物価が上がっていれば、通貨が安くなることで購買力が調整されるということです。

米国の株式等で運用する投資信託に為替ヘッジなしで投資する

このように、通貨は米ドルを保有して投資するというのが理想的です。

しかし、富裕層のようにまとまった金額の資金で投資することが難しい場合は、ドル建ての商品を購入するのはハードルが高いかもしれません。

そのような場合には、円資金で、国内で販売している国内籍の投資信託の内、米国の株式や債券に投資しているものへ為替ヘッジなしで投資することが最適と思います。

為替ヘッジをしないコースで投資すれば、米ドルで投資しているのと同じように円安ドル高のメリットが享受できます。

反対に、為替ヘッジありを選んでしまうとヘッジコストがかかりますし、通貨分散の効果もありません。

日本人はほぼすべての資産を円建てで保有していると思われますので、投資資金まで為替変動リスクをとらずにいることは、むしろ円への集中リスクが高まるとも言えます。

まとめ

投資信託には国内籍投信と外国籍投信があります。

国内籍投信は、海外の商品に投資していたとしても投資家は円資金での投資になり、為替の変動が基準価額に影響します。

しかし、米ドルの為替変動リスクはとりながら、むしろ円安ドル高のメリットを享受すべきではないでしょうか。

その場合は、為替ヘッジなしのコースを選択すれば、為替変動がそのまま基準価額に折り込まれます。

為替変動リスクを回避したい場合には、為替ヘッジありのコースがあります。

但し、為替ヘッジありコースにした場合には、小さくはないヘッジコストがかかります。

保有資産の円一局集中のリスクを回避するためには、為替ヘッジなしコースを選択して、米ドルを保有しているのと同じメリットを享受できた方が良いですね。

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